歯の「クリーニング」って?どれくらいの頻度で行えばいいの?効果やメリットが知りたい!
歯の「クリーニング」ってどんなもの?
見た目の好感度をアップ・ダウンさせる重要な要素であるとともに、私たちの健康を支える原点となる「歯」。美容と健康のためにも日頃からきっちりメンテナンスしておきたいものです。
今回は、歯のクリーニングの頻度やメリット、ホワイトニングとの違いなどについてもご紹介します。
歯のクリーニングとは
歯の「クリーニング」とは、歯垢・歯石・着色を除去することです。プラークとも呼ばれる「歯垢」は、通常は丁寧な歯磨きで落とすことができます。しかし、磨き残しなどにより歯垢が2〜3日ほど歯に付着し続けると、唾液中のミネラル成分と結合して石灰化しはじめ「歯石」に変化してしまいます。
歯石は、歯に沈着してしまった「色素」と同様、ブラッシングだけで落とすのは至難の業です。そのため、歯石は歯科医に除去してもらわなければなりません。
クリーニングの具体的な施術内容は歯科医院や患者の症状によって多少異なります。一般的には、まずプラークの染め出しで磨き残しをチェックした後、専用器具を使った清掃と研磨が行われ、仕上げにフッ素やトリートメント剤を表面に塗って歯の強化をして完了する流れになります。
クリーニングとホワイトニングの違いって?
歯を白くして見た目の美しさを向上させることに特化している「ホワイトニング」に対して、「クリーニング」は、歯石と色素を取り除いて口内環境を整え、健康・美容をサポートするのが特徴です。
また一部のクリーニングには保険が適用されますが、ホワイトニングはすべての施術が保険適用外になります。
クリーニングが必要な理由
歯のクリーニングは、健康と美容のふたつの側面において重要になるとお伝えしました。ここではさらに詳しく説明していきましょう。
「歯石」は、ひとたびできてしまうと普段の歯磨きだけではなかなか落とせないだけでなく、細菌の温床になってしまう厄介者です。さらに歯石を放置しておくことで歯周病の原因にもなります。歯周病は、糖尿病などの生活習慣病や動脈硬化などとも密接にかかわっているとされています。つまり、歯周病菌の増殖を促す歯石を除去することは、健康維持の手助けにもなるのです。
また、口内の細菌は歯石を足場として増殖しやすくなりますので、その菌が発生させるガスが「口臭」を悪化させているということもおこります。どんなに歯磨きしていても気になっていた口臭が、歯石の除去によって改善することもあるかもしれません。
そして、クリーニングによって歯の表面の汚れや色素を取り除くことができれば、歯が本来持つ白さが復活します。日頃の歯磨きでは落ちなかった汚れがなくなることで、歯が見えた時の印象が大きく変わるかもしれません。
このように、口内環境の改善から健康をサポートし、さらに見た目の印象の向上につながるという点が「クリーニング」のメリットといえるでしょう。
こんな方にはクリーニングがおすすめ
歯磨きが苦手・歯並びが悪い
歯磨きは毎食後〈1回につき3分間以上〉〈上下の永久歯28本(親知らずを含めると32本)〉をそれぞれを丁寧に磨き、さらに歯ブラシがリーチしにくい〈歯間〉のパーツは、デンタルフロスを用いてきれいにするのが理想とされています。
ここまできっちりできないという人や、そもそも歯磨きが苦手だという人にとって、歯のクリーニングは日々の不完全を補う手段として有効です。特に歯並びに自信がない方の場合は「磨き残し」が 多くなりがちなので、定期的にクリーニングをすることをおすすめします。
歯石がなくなり、様々な菌の増殖が抑えられれば、歯周病予防だけでなく虫歯予防や口臭対策にも効果的です。
愛煙家・色素が付きやすい飲食習慣の方
さらに喫煙者や、紅茶・コーヒー・ワインなどの色の付きやす飲食物の愛好家にも歯のクリーニングはおすすめです。タバコのヤニ・ワインのポリフェノール・コーヒーや紅茶のタンニンの色素は時間をかけて沈着し、歯を黄ばませていきます。定期的に歯のクリーニングを行うことで、頑固に沈着した汚れを落として本来の歯の白さを取り戻しましょう。
歯磨きがしにくい・歯に汚れが付きやすいという人にとって、手っ取り早く本格的なお掃除ができる「歯のクリーニング」はおすすめです。
歯のクリーニングの種類
歯のクリーニングは、保険が適用されるものと適用外のものと、大きく2タイプに分けることができます。
保険適用になるのは、治療としての歯石除去です。つまり、歯周ポケットの測定や歯と歯茎のX線検査などによって「治療目的で歯石の除去が必要」だと判断された場合がこれに当たります。それ以外のクリーニングは、自己負担になります。
クリーニングの種類は、スケーラーという特別な器具を使用して歯石と歯の表面の沈着物を除去する「スケーリング」、そのなかでも超音波振動で歯石を粉砕して除去する「超音波スケーリング」、歯周ポケット内の歯に着いた歯石を除去する「ルートプレーニング」、歯間部の歯垢を除去する「フロッシング」、超微粒子撥水パウダーと水や圧搾空気を吹き付けることによって汚れや色素を落とすエアフロー・ジェットクリーニングなどさまざまです。
歯のクリーニング内容を示すとき、PMTCという言葉が用いられますが、これは、プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニングの頭文字を取ったもので、その名の通り、歯科医師や歯科衛生士といったプロが専用の機器を用いて行う歯のクリーニングとの意味です。
患者それぞれの歯・歯茎の状態、歯石・色素の付着具合を診断したうえで、最適な器具と方法で歯の掃除が行われます。
クリーニングのメリット
歯のクリーニングをすることで、歯垢や汚れはもちろん、毎日の歯磨きでは落としきれない歯石が落とせます。
歯周病・虫歯・口臭などを引き起こす厄介な歯石を除去することで、口の中が健康的な状態に保ちやすくなることも大きなメリットと言えるでしょう。もちろん色素も落とせますので、見た目の印象も明るさや美しさも目指すことができます。
近年、美しさの指標として「白い歯」の影響は、世界的にも共通認識とされています。エステでスキンケアをすることや美容院でヘアケアをするのと同様に、私たちの日常により身近なものとなってきているようです。
クリーニングの相場価格 (保険or自費での違い)
〈歯周病治療〉の一環としてクリーニングを行う場合、複数回通わなければなりません。保険適用での1回当たりの自己負担額は、検査料・レントゲン撮影料を含めて約3,000円程度です。
一方、〈自費〉でクリーニングを行う場合は、1回あたり約5,000~20,000円ほどが目安となります。ただし、歯の状態の違いや、個人の目的によるリクエスト(複数回に分けるのではなく1回で終了させたい、もっと歯に艶を出したい、など)によって施術内容・価格が異なります。また、歯科医院が独自で料金を設定できるため、歯科医院によっても金額に差が生じます。
ホワイトニングとクリーニグの違い
見た目の美しさを向上させるために歯を白くすることに特化する〈ホワイトニング〉に対して、〈クリーニング〉は、歯石と色素を取り除くことによって口内環境を整え、健康・美容をサポートするという点が特徴です。 また、一部のクリーニングには保険が適用されますが、ホワイトニングはすべての施術が保険適用外になります。
よくあるご質問
クリーニングに関するQ&Aをまとめました。
- Q. 歯のクリーニング中は痛みを感じるの?
- A. 歯と歯茎が健康な状態であれば痛みを感じることはほとんどありません。ただし、歯石がたくさん固着している場合や、歯肉炎や歯周炎が生じている場合は、多少の痛みを感じてしまうことがあります。
- Q. ワインが好きな人はどうしたらいいの?
- A. 歯石が溜まっていたり歯の表面に傷があったりすると色素が沈着しやすくなるので、ワイン好きな人こそ定期的なクリーニングで歯の表面をツルツルにしておくことをおすすめします。歯のホワイトニングの場合は、施術方法によってはケア直後のワインやコーヒーなどの飲食が禁止されていますが、クリーニングの施術後は飲食制限はありません。歯の汚れがない分、味の感じ方がより明確にもなります。
- Q. タバコを吸う人はどうしたらいいの?
- A. 喫煙される方もヤニの汚れと色素を除去すべく、ワイン愛好家と同様に定期的にクリーニングをすることがオススメです。超音波の振動によって汚れを落とす「超音波スケーラー」を用いれば、歯石もヤニも除去することが可能です。
- Q. どれくらいの頻度でやれば良い?
- A. 通常は3ヶ月程度ごとににクリーニングをすることで、口内の健康と美しい歯がキープできるようになります。歯周病の方の場合は、2ヶ月に1回程度が理想的とされています。
お口の状態やプラークコントロールの状況にもよりますので、人それぞれ最適な頻度は異なります。 - Q. どこに行けばいいの?
- A. 歯のクリーニングは医療行為に当たりますので、歯科医院でのみ施術を受けることが可能です。
- Q. 歯磨きのコツは?
- A. 1~2本ずつの歯に歯ブラシの毛先を当てて、細かく振動させるように表裏合わせて30回ほど動かして磨くのがコツです。
- Q. 保険でのクリーニングはなぜ何回も通わされるの?
- 保険でのクリーニングはあくまでも〈歯周病の治療〉として歯石を除去するので、歯科医師による視診の他、レントゲン検査、さらにクリーニングにより治療効果が得られたかどうかと言う判断が必要になるためです。歯石除去のみを1回の施術で完了させたい場合は、保険適用外となります。